相続の名義書換え

相続の名義書換え

相続で不動産名義を譲り受けることになった場合、登記名義を変更する相続登記をする必要があります。相続登記しないでそのまま放置していると、思いがけないことで問題となることがあります。一方、相続登記を行うには戸籍簿の収集に1~2ヶ月はかかります。早めにご準備されることをお勧めします。

相続登記放置のリスク

相続関係が複雑に!!

相続登記を放置している間に、身内にご不幸があると、相続人の数が増えて相続関係が複雑になります。新たに相続人となった人の介入により話し合いがこじれてしまったという事例は非常に多くの方が経験されていますので、ご注意ください。
下図のようにお父さんが亡くなられた場合、お母さん・お兄さん・弟さんの3名の話し合いで、誰がどの財産を相続するかを決めることができます。そして、その内容に応じて相続登記の手続きをすることになります。しかし、相続登記を放置したまま、弟さんが亡くなられた場合、弟さんのご家族である弟さんの奥さん・お子さん方が弟さんの代わりになり、相続登記手続きを進めることになります。この場合、弟さん本人ではないため、事情がうまく伝わらず、話が進まないことがあり得ます。さらに、弟さん存命中に遺産分割協議書を作成していなかった場合、リスクは拡大します。弟さんのご家族全員が協議書に署名・捺印しなければならないのです。そのため、弟さんの存命中に決まっていたことでも、一からやり直すこともあり得ます。また、弟さんのお子さんが未成年だった場合は、裁判所に代理人を選ぶよう請求しなければなりません。遺産分割協議書を作成してあるから安心!必ずしもそうではありません。記載に不備があった場合、相続登記の手続を進めることはできません。この場合、新たに遺産分割協議書を作成し直さなければならないのです。

相続関係が複雑に!!

他の相続人の債務者も関与?

相続登記を放置していると、他の相続人の債権者が法定どおりの相続登記をし、差押の登記をする場合があります。このような場合、その債権者に差押登記を抹消するよう請求しなければなりません。当事者だけでなく第三者も関与してくる話となってしまうのです。

他の相続人の債務者も関与?

相続登記は法律上の決められた配分(法定相続分と言います)で行う場合、相続人1人でも手続きすることができます。法定相続分に従った登記は、お母さん・お兄さん・弟さんの債権者が差し押さえるために手続きすることができます。本人に借金した覚えがなくとも、税金滞納により差し押さえられることは多々あります。この場合、親族でない者が登場することになり、手続きも面倒になります。

遺言書があっても安心できない?

遺言書があるから相続登記しなくても大丈夫!そんなことはありません。知らない間に、他の相続人が遺言書と違う内容の相続登記をしていた!ということもあるのです。

遺言書があっても安心できない?

相続登記は法律上の決められた配分(法定相続分と言います)で行う場合、相続人1人でも手続きすることができます。例えば、右記のようにお父さんが亡くなられた場合、『弟さんに全部の財産を与える』という遺言書があれば、当然、弟さんが遺言を元に相続登記することができます。しかし、遺言書があっても、お母さん・お兄さんは、単独で法定相続分に従った内容(お母さん2分の1、お兄さん4分の1、弟さん4分の1)の相続登記をすることができるのです。遺言書の内容は当然最優先されます。しかし、お母さん・お兄さんには、遺留分という遺言でも奪えない一定の割合が保証されています。そのため、相続登記を抹消するには、お母さん・お兄さんとの話し合い又は裁判をしなければならないのです。